わたし。どこからがわたしでどこからがわたしでないのでしょうか。
これは、他者と共に社会に生きるわたしたちの根源的な問いです。
石器からiPhoneにいたるまで、古今東西の技術は、「わたし」を拡張してきました。
時代が進むにつれて、わたしにできることはどんどん広がっていきます。
今や、電話やネットのおかげで遠くの人にもわたしの声や思いは届き、
Googleマップによってわたしの土地勘は世界の隅々にまで及びます。
技術に媒介されることで、わたしや社会そのものがますます
便利に、自由に、広がっていくのです。
一方で、拡大とともにその境界は曖昧になっています。
「ネットの声」と紹介された「わたし」のつぶやき、
Amazonに薦められて買った「わたしの欲しいもの」、
「わたし」の代わりに会議に「出席」してくれるロボット…。
一体、どこまでを「わたし」と認めればよいのでしょうか。
「自分」という言葉があります。
自らを分けると書いて、自分。
第17回制作展では「わたしエクステンション」というテーマを通じて、
「自分」つまり、わたしと社会とそれらを拡張させていくさまざまな技術との
境界について問うてみたいと思います。