視野闘争のための万華鏡
#11: 視野闘争のための万華鏡

左右の目に違う映像を提示したとき、一方がよく見えたり、互いに混ざり合ったり、片側が見づらくなったりする。これを左右の目が競い合っているようにみえることから視野闘争と呼ぶ。この作品では、両眼に万華鏡を当て、コンピュータによって作り出される映像を万華鏡を通して鑑賞する。視野闘争をコントロールするように設計された映像により、鑑賞者は右と左の視野の融合するような感覚や、左右が高速で切り替わるような感覚、片側の視野の喪失感など、様々な視覚効果を体感する。万華鏡の光の反射は液晶ディスプレイによって強化され、視界はアナログの万華鏡よりもさらに広がる。古典的な合わせ鏡とニューメディアによって作られる二つの世界が、自分の脳の認識の中で溶け合い、消され、絡み合う。この作品は、まるで目で見る音楽のような体験、定位できないデジタルメディアの広がりを鑑賞者に提供するだろう。

落合おちあい 陽一よういち
東京大学大学院 学際情報学府 総合分析情報学コース 修士1年 暦本研究室所属

1987 年東京都生まれ。名前の由来はプラス ( 陽 ) とマイナス ( 一 )。父に作家・ジャーナリストの落合信彦と会社役員の母を持つ。主な肩書きは、メディアアーティスト、および IPA 認定スーパークリエータ( 未踏事業 )、デザイナー、そして大学院生。デザインとプロトタイピング、およびメディア芸術に興味を持ち、研究 / 開発 / 制作などに従事。大学時代は内部状態を提示するメディア ( インジケータブルメディア ) の研究、制作に勤しんだ。

メディアアーティスト/IPA 認定スーパークリエータ

ジセカイ株式会社 創業者兼アーティスト