主催:東京大学大学院情報学環・学際情報学府 2012年12月6日(木)―12月10日(月)

いとをかし
第14回東京大学制作展は終了いたしました.
たくさんのご来場ありがとうございました.
来年度の制作展もどうぞよろしくお願いいたします.

今年の制作展テーマは、「いとをかし」。
『枕草子』など日本を代表する作品にも多く見られ、趣深さを意味するこの言葉。
本制作展では、和モダンなイメージで会場を演出しつつ、どことなく趣の味わえる作品を展示します。
無機質な印象の強い技術に趣が加わるとどうなるか。
そこには、技術が与えてくれる驚きに感じ入る時間があります。
ぜひとも、この非日常的空間へ足をお運びください。

ごあいさつ

荒川 忠一

荒川 忠一

東京大学制作展担当教員
東京大学大学院 学際情報学府教授
東京大学大学院 工学系研究科教授

この度は、無事「第14回東京大学制作展」“iiiExhibition14”を開催する運びとなりました。 この東京大学制作展は、大学院情報学環・学際情報学府の授業の一環として、学生たちが自らの研究や関心を表現する、 学際的実践の場という位置づけがなされています。今回も、学生たちの自由な発想、創造、実行力が遺憾なく発揮されており、 ご来場の皆さまには、驚きと発見をお持ち帰りいただけるかと思います。力強く変化し続ける、東京大学制作展をひとりでも 多くの方に感じていただけますよう、みなさまのご来場を教職員・ 学生一同、心よりお待ちしています。 最後になりましたが、この展覧会の実現のためにご協力いただきました方々に、御礼申し上げます。

慶野 結香

慶野 結香

2012年度 制作展プロデューサー
東京大学大学院 学際情報学府
文化・人間情報学コース 修士課程1年

東京大学制作展は、2004年夏より開催されている、テクノロジーを用いた作品の展覧会です。この展覧会は、大学院情報学環・学際情報学府の授業の一環として学生が主体となり、企画・運営を行っています。7月と12月、計2回の制作展を作り上げるために、約一年もの間、週に一度は必ず皆で集まり、議論や試行錯誤を重ねて参りました。自分の作品をただ展示するのではなく、多種多様なメンバーの中で、作品と展示を協働して生み出していく制作展の営みは、個々人の研究とは一味違った、刺激的な体験でした。メンバーのテクノロジーに対する立ち位置も様々で、技術を使って問題解決を志向する人もいれば、技術が生み出された背景や時代に興味があり、それを現代においていかに意識化するかという部分に目を向ける人もいます。私はこの場のおかげで、自らがそれまで気づかなかったことや、知の様々な様態に触れ、新たな創造性を獲得することができたと感じています。さて、私たちがこの展覧会でお見せする様々なテクノロジーは、100年後もこのままの形で使われるのでしょうか。私はそうは思いません。おそらくこれらの技術は、人々の生活の中に溶け込んだとしても、改良され、より多彩な表現に昇華されることでしょう。技術も、それを使用する人間も変わっていきます。しかし、ふと100年前に発明されものに目を向けてみると、現在使われていなかったとしても、それぞれが面白く、心を惹かれるものがあります。技術というものの奥深さを、どのように作品に活かすか考えるために、趣深いという意味の古語である、「いとをかし」を展覧会のテーマに設定しました。 普段、メディアアートやテクノロジーを用いた作品が身近にある方もない方も、東京大学制作展にご来場いただき、なにかを感じていただければ幸いです。最後になりましたが、展覧会の実現にあたり、ご協力くださいました皆さまにこの場を借りて御礼申し上げます。

作品紹介 - 全25作品 -

会場内イベント情報 >>

カピニット
カピニット
喜多 唯
まねっこ
まねっこ
永井 佑樹
Artistic flow visualisation
Artistic flow visualisation
藤澤 慶、石黒 慎
Pictrue Displays You
Pictrue Displays You
藤井 達也
Obsessed sand
Obsessed sand
新川 昌典
心映し
心映し
吉田 成朗
4gメカ コメツキムシ
4gメカ コメツキムシ
福嶋 昭彦
Nude Descending a Staircase
Nude Descending a Staircase
Justin and Natasha
空気読めるやつ
空気読めるやつ
高本 聡、加藤 大晴
fleeting fragments
fleeting fragments
牟田 高太郎
Sound ROKA
Sound ROKA
佐川 俊介
テーブルの上の異世界
テーブルの上の異世界
宇塚 貴紀
PictRainBow
記憶色に寄せて
水落 大
時渡り乗換案内
時渡り乗換案内
大原 寛司
無限ミクロ
無限ミクロ
井川 裕太
POWDER BOX
POWDER BOX
中西 宣人
キーホルダー型ロボット
キーホルダー型ロボット
稲葉 翔、藤澤 哲平
くまじろう
くまじろう
芝原 俊樹、井川 裕太、
中嶋 晃聖、福島 俊彦
今、ここにあるもの
今、ここにあるもの
加藤 ユウ
Another Room
Another Room
池上 尭史
休憩所
休憩所
石倉 一誠、上田 健太郎
機械にはこう見えている
機械にはこう見えている
天野 宗佑
RobotDriver
RobotDriver
石黒 慎
物質世界を離れて
物質世界を離れて
落合 陽一
影薄いやつ!
影薄いやつ!
林 雪婷、王 夢、
佐川 俊介
カピニット

カピニット

喜多 唯

東京大学大学院 学際情報学府 総合分析情報学コース 暦本研究室 修士課程1年

この作品は高速な読書のための装置です。机の上の本をぱらぱらとめくると、コンピュータが適切な図を提示します。増え続ける世界の情報に対して生身の人間はいかに進化できるでしょうか?Capinitはコンピュータが人間の能力を拡張することで、人間の情報世界に対する進化の可能性を示しています。

*Capinity(カピニティー、造語): 一目見て理解できる情報量

まねっこ

まねっこ

永井 佑樹

東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 廣瀬・谷川研究室 修士課程1年

小さい頃、友達の動きを真似して遊んだことはありませんか? この壁には、そんな「まねっこ」が潜んでいます。あなたの動きに合わせて、動きまわります。でもよく見ると、彼らは一人じゃありません。沢山の「まねっこ」があなたの動きをマネしています。実は彼らは、あなたと同じように、「まねっこ」にマネされていた人たちなのです。過去の人たちと、動きを通して何かしら共感できるものがあるかもしれません。

Artistic flow visualisation

Artistic flow visualisation

藤澤 慶、石黒 慎

東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 大島研究室 修士課程1年
東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 大島研究室 修士課程1年

身の回りに存在する空気の流れがどう流れているか見たことはありますか?人が動いたり、呼吸をしたりすると空気の流れは変化します。超音波による流体の美しさを感じてください。

Pictrue Displays You

Pictrue Displays You

藤井 達也

東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 廣瀬・谷川研究室 修士課程1年

あなたが普段目にしている見慣れた光景でも、注意深く観察することで隠れたものに気づくかもしれません。掛け軸の中に描かれているもの、それは一見するとただの絵かもしれません。もっと近づいて覗きこんでみてください。きっと、別の何かが見つかるでしょう。

Obsessed sand

Obsessed sand

新川 昌典

東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 河口研究室 修士課程1年

もしも体が砂でできていたら?そんな空想上の物語でしかないような世界を、数百の演算装置を備えたコンピューターだからこそできる高速シミュレーションで、実現させてみせましょう。

心映し

心映し

吉田 成朗

東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 廣瀬・谷川研究室 修士課程1年

《心映し》は魔法の鏡。

この鏡は、表情を虚偽的に映し出してあなたの心に影響を与えます。

本当の気持ちって、果たして心が生み出しているものなのでしょうか。

4gメカ コメツキムシ

4gメカ コメツキムシ

福嶋 昭彦

東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 河口研究室 修士課程1年

コメツキムシという昆虫は、平らな場所で仰向けにしておくと、パチンと跳ねて元の姿勢に戻ることができます。この作品は、コメツキムシ特有の跳躍を行う昆虫型ロボットです。超軽量の素材と超小型のモーターや制御基板を使うことによって、約4グラムという軽さを実現しています。本物のコメツキムシと同じ独特の跳ねを楽しんでください。

Nude Descending a Staircase

Nude Descending a Staircase

Justin and Natasha

裸体が階段を降りています。 階段のまわりに人が集まれば集まるほど、裸体は素早く階段を降りるようになります。 人に囲まれてしまうと、ちゃんちゃら可笑しくなって踊り始めてしまいます。 恥ずかしがっているのでしょうか。 ちょうど100年前に行われた概念の拡張が、時空を超えて足音を鳴らし続けます。

Powder Box

空気読めるやつ

高本 聡、加藤 大晴

東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 修士課程1年、
東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 修士課程1年

普段あなたが歩くとき、すぐ近くでどんな現象が起きているか考えたことがありますか。

時に優雅に、時に激しく、空気は常にあなたの動きに従って複雑な動きを生み出し続けています。

その動きは方程式によって記述され、そして方程式はコンピュータによって命が吹き込まれます。

今日はそんな手順で表現された「見える空気」と戯れてみませんか。

fleeting fragments

fleeting fragments

牟田 高太郎

東京大学大学院 学際情報学府 文化・人間情報学コース 荒川忠一研究室 修士課程2年

いま、あなたが発している「気配」を増幅するインスタレーション作品です。あなたの微細な音の気配によって、作品に静かな変化が起こります。そっと目と耳を傾けてみてください。あなたの気配は、金属製のパイプから漏れる光や、小さなざわめきとして室内に広がります。

Sound ROKA

Sound ROKA

佐川 俊介

東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 小川研究室 修士課程1年

"Sound ROKA"では、言葉を認識してバイナリ化された後、グラフィック中で様々に変化させ、まるでろ過したように全く違った言葉となって復元されます。

あなたの言葉が0と1との間で変わりゆく様子をお楽しみください。

テーブルの上の異世界

テーブルの上の異世界

宇塚 貴紀

東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 廣瀬・谷川研究室 修士課程1年

テーブルの上の小さな異世界には、見えない生き物たちが住んでいます。不思議な窓を覗いて、彼らと一緒に遊びましょう。友達と協力すると、もっと楽しくなれます。

PictRainBow

記憶色に寄せて

水落 大

東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 國吉・原田研究室 修士課程1年

目に映る色と記憶に残る色は違うと言われています。

脚色された写真を使って、空間を作る事を考えました。

記憶の中の映像をすくい上げ、元の姿を取り戻してみましょう。

時渡り乗換案内

時渡り乗換案内

大原 寛司

東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 廣瀬・谷川研究室 修士課程1年

我々が普段当たり前のように使っている地下鉄。現在の路線網は、長い年月をかけて様々な路線が開業、延伸された結果、実現されたものなのです。

それでは、会場の最寄駅から、あなたが最近ICカードを使った駅までの経路を、昔の路線網にあてはめてみるとどうなるか見てみましょう。

昔の路線網では、遠回りが必要かもしれません。そもそも駅がないかもしれません。時を渡ったあなたは、無事に目的地まで辿り着くのかな?

無限ミクロ

無限ミクロ

井川 裕太

東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 國吉・原田研究室 修士課程1年

古来より"八百万(やおよろず)"に存在するとして崇められた日本の神々。八百万という言葉は、その数が想像を超えていることに由来し、底が見えない、どこまでも奥深い世界をも表現していると考えられます。『無限ミクロ』では、そんなどこまでも果てのない世界をフラクタルによって実現しました。拡大しても拡大してもまた現れる相似形。今あなたが手にしているものも、『無限ミクロ』によって、終わりのない世界へいざないます。

POWDER BOX

POWDER BOX

中西 宣人

東京大学大学院 学際情報学府 文化・人間情報学コース 荒川忠一研究室 博士課程1年

"POWDER BOX"は、簡易的な共同演奏を体験できる組み替え型演奏デバイスです。様々なセンサを組み合わせることで、自由に楽器のインタフェースを作り出すことが可能です。気軽に触れて、一緒に音楽的なアイディアを共有してみませんか。

キーホルダー型ロボット

キーホルダー型ロボット

稲葉 翔、藤澤 哲平

東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 國吉・原田研究室 修士課程2年

カバンにつけているキーホルダーのぬいぐるみ、ロボットだったら楽しいと思いませんか?手のひらに収まるロボットと遊んでみませんか。 実際にかばんにさげるのもOKです。

くまじろう

くまじろう

芝原 俊樹、井川 裕太、中嶋 晃聖、福島 俊彦

東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 國吉・原田研究室 修士課程1年

ロボットは人に従順な存在?多くのロボットはそう目指して生まれて来ました。けれども、いくらロボット側が人の意向を汲み取ろうとしても限界があり、彼らが従順なはずという思い込みによって逆に溝が生まれる場合もあります。それならむしろ、感情的な要素を取り入れ、時には嫌がったりもするロボットならば、人の方から相手を理解しようとするかもしれない。両者の関係が淡泊でなく味のあるものへ変わる第一歩を今踏み出します。

今、ここにあるもの

今、ここにあるもの

加藤 ユウ

東京大学大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 荒川忠一研究室 修士課程2年

今、ここにあるもの。風、光、音…私たちを取り巻くあらゆる自然の要素は、常にとどまることなく変化しています。この作品は、そんな普段見落としがちな周辺環境の変化を感じさせてくれます。“今、ここにあるもの”を、実際に身体を通して経験したとき、“今、ここに生きている自分の身体”と“常に変化している周辺環境”への意識が同時に生まれるのです。そして、私たち人間も自然の一部であるということを感じさせてくれます。

Another Room

Another Room

池上 尭史

東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 池内研究室 修士課程1年

Another Roomは運動視差を利用して立体感を表現した作品です。3Dテレビや3D映画とは異なり、自分とスクリーンとの位置関係で見え方が変わるため、より身体的に奥行きを感じることができます。

休憩所

休憩所

石倉 一誠、上田 健太郎

東京大学大学院 学際情報学府

休憩所です。ご自由にどうぞ。

機械にはこう見えている

機械にはこう見えている

天野 宗佑

東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 相澤・山崎研究室 修士課程1年

人の認識は、その人の知識に左右されます。もしあなたの知識が偏っているならば、きっと認識も偏ったものになることでしょう。この作品では、日本のポピュラーな食事に関する知識を与えられたコンピュータが、いったい世界をどのように認識しているのかをあなたにお伝えします。目に映るものすべてを食べ物だと思い込んでいる機械は、きっとあなたを食べ物だと認識することでしょう。

RobotDriver

RobotDriver

石黒 慎

東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 池内研究室 修士課程1年

人間は操作方法が異なる多様な乗り物を巧みに運転することができます。

しかしながら、複数の乗り物の操作に慣れるには、乗り物の数だけ長時間の運転経験が必要です。

本作品では、人間型ロボットを遠隔操作し、間接的に乗り物を運転することが出来ます。

ロボットによって乗り物ごとの運転感覚の差異を吸収することで、同じ1つの操作方法で多様な乗り物を運転可能にすることを目指しました。

物質世界を離れて

物質世界を離れて

落合 陽一

東京大学大学院 学際情報学府 総合分析情報学コース 修士課程2年

魂の牢獄から離れることの出来ない我々は、メディア装置の中に何を見ることができるだろうか。物象的実体を超えた何かが視覚を通じて自らの存在をあやふやにするとき、物質世界からほんの少しだけ離れることが出来る気がする。

影薄いやつ!

影薄いやつ!

林 雪婷、王 夢、佐川 俊介

東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 小川研究室 修士課程1年、
東京大学大学院 工学系研究科 電気工学融合情報コース 小川研究室 修士課程2年

人と影は一心同体。

人が微笑えば影も微笑う。

影の明暗は、人の存在感。

影とふれあってみよう!

心の変化が見えるのかもしれない。

開催概要

会場東京大学本郷キャンパス
工学部2号館 2階展示室・2階フォラム・9階92B
情報学環・福武ホール
最寄り駅東京メトロ南北線 東大前駅徒歩7分
東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線 本郷三丁目駅徒歩8分
東京メトロ千代田線 根津駅徒歩8分
東京メトロ三田線 春日駅徒歩10分
開催日程2012年12月6日(木) - 10日(月) 11:00 - 19:00
入場無料

スタッフ

担当教員


プロデューサー

サブプロデューサー
荒川 忠一
鈴木 太朗

慶野 結香

王 夢
難波 純也
広報





会場
上田 健太郎
天野 宗佑
井川 裕太
福島 俊彦
藤井 達也

水落 大
加藤 大晴
喜多 唯
藤澤 慶
中嶋 晃聖
林 雪婷
吉田 成朗
デザイン






Web・記録
石倉 一誠
池上 尭史
大原 寛司
佐川 俊介
西村 光平
福嶋 昭彦

永井 佑樹
新川 昌典
石黒 慎
宇塚 貴紀
芝原 俊樹
高本 聡