この度は、無事「第14回東京大学制作展」“iiiExhibition14”を開催する運びとなりました。 この東京大学制作展は、大学院情報学環・学際情報学府の授業の一環として、学生たちが自らの研究や関心を表現する、 学際的実践の場という位置づけがなされています。今回も、学生たちの自由な発想、創造、実行力が遺憾なく発揮されており、 ご来場の皆さまには、驚きと発見をお持ち帰りいただけるかと思います。力強く変化し続ける、東京大学制作展をひとりでも 多くの方に感じていただけますよう、みなさまのご来場を教職員・ 学生一同、心よりお待ちしています。 最後になりましたが、この展覧会の実現のためにご協力いただきました方々に、御礼申し上げます。
東京大学制作展は、2004年夏より開催されている、テクノロジーを用いた作品の展覧会です。この展覧会は、大学院情報学環・学際情報学府の授業の一環として学生が主体となり、企画・運営を行っています。7月と12月、計2回の制作展を作り上げるために、約一年もの間、週に一度は必ず皆で集まり、議論や試行錯誤を重ねて参りました。自分の作品をただ展示するのではなく、多種多様なメンバーの中で、作品と展示を協働して生み出していく制作展の営みは、個々人の研究とは一味違った、刺激的な体験でした。メンバーのテクノロジーに対する立ち位置も様々で、技術を使って問題解決を志向する人もいれば、技術が生み出された背景や時代に興味があり、それを現代においていかに意識化するかという部分に目を向ける人もいます。私はこの場のおかげで、自らがそれまで気づかなかったことや、知の様々な様態に触れ、新たな創造性を獲得することができたと感じています。さて、私たちがこの展覧会でお見せする様々なテクノロジーは、100年後もこのままの形で使われるのでしょうか。私はそうは思いません。おそらくこれらの技術は、人々の生活の中に溶け込んだとしても、改良され、より多彩な表現に昇華されることでしょう。技術も、それを使用する人間も変わっていきます。しかし、ふと100年前に発明されものに目を向けてみると、現在使われていなかったとしても、それぞれが面白く、心を惹かれるものがあります。技術というものの奥深さを、どのように作品に活かすか考えるために、趣深いという意味の古語である、「いとをかし」を展覧会のテーマに設定しました。 普段、メディアアートやテクノロジーを用いた作品が身近にある方もない方も、東京大学制作展にご来場いただき、なにかを感じていただければ幸いです。最後になりましたが、展覧会の実現にあたり、ご協力くださいました皆さまにこの場を借りて御礼申し上げます。
カピニット 喜多 唯 |
まねっこ 永井 佑樹 |
Artistic flow visualisation 藤澤 慶、石黒 慎 |
Pictrue Displays You 藤井 達也 |
Obsessed sand 新川 昌典 |
心映し 吉田 成朗 |
4gメカ コメツキムシ 福嶋 昭彦 |
Nude Descending a Staircase Justin and Natasha |
空気読めるやつ 高本 聡、加藤 大晴 |
fleeting fragments 牟田 高太郎 |
Sound ROKA 佐川 俊介 |
テーブルの上の異世界 宇塚 貴紀 |
記憶色に寄せて 水落 大 |
時渡り乗換案内 大原 寛司 |
無限ミクロ 井川 裕太 |
POWDER BOX 中西 宣人 |
キーホルダー型ロボット 稲葉 翔、藤澤 哲平 |
くまじろう 芝原 俊樹、井川 裕太、 中嶋 晃聖、福島 俊彦 |
今、ここにあるもの 加藤 ユウ |
Another Room 池上 尭史 |
休憩所 石倉 一誠、上田 健太郎 |
機械にはこう見えている 天野 宗佑 |
RobotDriver 石黒 慎 |
物質世界を離れて 落合 陽一 |
影薄いやつ! 林 雪婷、王 夢、 佐川 俊介 |
カピニット喜多 唯東京大学大学院 学際情報学府 総合分析情報学コース 暦本研究室 修士課程1年この作品は高速な読書のための装置です。机の上の本をぱらぱらとめくると、コンピュータが適切な図を提示します。増え続ける世界の情報に対して生身の人間はいかに進化できるでしょうか?Capinitはコンピュータが人間の能力を拡張することで、人間の情報世界に対する進化の可能性を示しています。 *Capinity(カピニティー、造語): 一目見て理解できる情報量 |
まねっこ永井 佑樹東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 廣瀬・谷川研究室 修士課程1年小さい頃、友達の動きを真似して遊んだことはありませんか? この壁には、そんな「まねっこ」が潜んでいます。あなたの動きに合わせて、動きまわります。でもよく見ると、彼らは一人じゃありません。沢山の「まねっこ」があなたの動きをマネしています。実は彼らは、あなたと同じように、「まねっこ」にマネされていた人たちなのです。過去の人たちと、動きを通して何かしら共感できるものがあるかもしれません。 |
Artistic flow visualisation藤澤 慶、石黒 慎東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 大島研究室 修士課程1年
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Pictrue Displays You藤井 達也東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 廣瀬・谷川研究室 修士課程1年あなたが普段目にしている見慣れた光景でも、注意深く観察することで隠れたものに気づくかもしれません。掛け軸の中に描かれているもの、それは一見するとただの絵かもしれません。もっと近づいて覗きこんでみてください。きっと、別の何かが見つかるでしょう。 |
Obsessed sand新川 昌典東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 河口研究室 修士課程1年もしも体が砂でできていたら?そんな空想上の物語でしかないような世界を、数百の演算装置を備えたコンピューターだからこそできる高速シミュレーションで、実現させてみせましょう。 |
心映し吉田 成朗東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 廣瀬・谷川研究室 修士課程1年《心映し》は魔法の鏡。 この鏡は、表情を虚偽的に映し出してあなたの心に影響を与えます。 本当の気持ちって、果たして心が生み出しているものなのでしょうか。 |
4gメカ コメツキムシ福嶋 昭彦東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 河口研究室 修士課程1年コメツキムシという昆虫は、平らな場所で仰向けにしておくと、パチンと跳ねて元の姿勢に戻ることができます。この作品は、コメツキムシ特有の跳躍を行う昆虫型ロボットです。超軽量の素材と超小型のモーターや制御基板を使うことによって、約4グラムという軽さを実現しています。本物のコメツキムシと同じ独特の跳ねを楽しんでください。 |
Nude Descending a StaircaseJustin and Natasha裸体が階段を降りています。 階段のまわりに人が集まれば集まるほど、裸体は素早く階段を降りるようになります。 人に囲まれてしまうと、ちゃんちゃら可笑しくなって踊り始めてしまいます。 恥ずかしがっているのでしょうか。 ちょうど100年前に行われた概念の拡張が、時空を超えて足音を鳴らし続けます。 |
空気読めるやつ高本 聡、加藤 大晴東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 修士課程1年、
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fleeting fragments牟田 高太郎東京大学大学院 学際情報学府 文化・人間情報学コース 荒川忠一研究室 修士課程2年いま、あなたが発している「気配」を増幅するインスタレーション作品です。あなたの微細な音の気配によって、作品に静かな変化が起こります。そっと目と耳を傾けてみてください。あなたの気配は、金属製のパイプから漏れる光や、小さなざわめきとして室内に広がります。 |
Sound ROKA佐川 俊介東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 小川研究室 修士課程1年"Sound ROKA"では、言葉を認識してバイナリ化された後、グラフィック中で様々に変化させ、まるでろ過したように全く違った言葉となって復元されます。 あなたの言葉が0と1との間で変わりゆく様子をお楽しみください。 |
テーブルの上の異世界宇塚 貴紀東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 廣瀬・谷川研究室 修士課程1年テーブルの上の小さな異世界には、見えない生き物たちが住んでいます。不思議な窓を覗いて、彼らと一緒に遊びましょう。友達と協力すると、もっと楽しくなれます。 |
記憶色に寄せて水落 大東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 國吉・原田研究室 修士課程1年目に映る色と記憶に残る色は違うと言われています。 脚色された写真を使って、空間を作る事を考えました。 記憶の中の映像をすくい上げ、元の姿を取り戻してみましょう。 |
時渡り乗換案内大原 寛司東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 廣瀬・谷川研究室 修士課程1年我々が普段当たり前のように使っている地下鉄。現在の路線網は、長い年月をかけて様々な路線が開業、延伸された結果、実現されたものなのです。 それでは、会場の最寄駅から、あなたが最近ICカードを使った駅までの経路を、昔の路線網にあてはめてみるとどうなるか見てみましょう。 昔の路線網では、遠回りが必要かもしれません。そもそも駅がないかもしれません。時を渡ったあなたは、無事に目的地まで辿り着くのかな? |
無限ミクロ井川 裕太東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 國吉・原田研究室 修士課程1年古来より"八百万(やおよろず)"に存在するとして崇められた日本の神々。八百万という言葉は、その数が想像を超えていることに由来し、底が見えない、どこまでも奥深い世界をも表現していると考えられます。『無限ミクロ』では、そんなどこまでも果てのない世界をフラクタルによって実現しました。拡大しても拡大してもまた現れる相似形。今あなたが手にしているものも、『無限ミクロ』によって、終わりのない世界へいざないます。 |
POWDER BOX中西 宣人東京大学大学院 学際情報学府 文化・人間情報学コース 荒川忠一研究室 博士課程1年"POWDER BOX"は、簡易的な共同演奏を体験できる組み替え型演奏デバイスです。様々なセンサを組み合わせることで、自由に楽器のインタフェースを作り出すことが可能です。気軽に触れて、一緒に音楽的なアイディアを共有してみませんか。 |
キーホルダー型ロボット稲葉 翔、藤澤 哲平東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 國吉・原田研究室 修士課程2年カバンにつけているキーホルダーのぬいぐるみ、ロボットだったら楽しいと思いませんか?手のひらに収まるロボットと遊んでみませんか。 実際にかばんにさげるのもOKです。 |
くまじろう芝原 俊樹、井川 裕太、中嶋 晃聖、福島 俊彦東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 國吉・原田研究室 修士課程1年ロボットは人に従順な存在?多くのロボットはそう目指して生まれて来ました。けれども、いくらロボット側が人の意向を汲み取ろうとしても限界があり、彼らが従順なはずという思い込みによって逆に溝が生まれる場合もあります。それならむしろ、感情的な要素を取り入れ、時には嫌がったりもするロボットならば、人の方から相手を理解しようとするかもしれない。両者の関係が淡泊でなく味のあるものへ変わる第一歩を今踏み出します。 |
今、ここにあるもの加藤 ユウ東京大学大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 荒川忠一研究室 修士課程2年今、ここにあるもの。風、光、音…私たちを取り巻くあらゆる自然の要素は、常にとどまることなく変化しています。この作品は、そんな普段見落としがちな周辺環境の変化を感じさせてくれます。“今、ここにあるもの”を、実際に身体を通して経験したとき、“今、ここに生きている自分の身体”と“常に変化している周辺環境”への意識が同時に生まれるのです。そして、私たち人間も自然の一部であるということを感じさせてくれます。 |
Another Room池上 尭史東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 池内研究室 修士課程1年Another Roomは運動視差を利用して立体感を表現した作品です。3Dテレビや3D映画とは異なり、自分とスクリーンとの位置関係で見え方が変わるため、より身体的に奥行きを感じることができます。 |
休憩所石倉 一誠、上田 健太郎東京大学大学院 学際情報学府休憩所です。ご自由にどうぞ。 |
機械にはこう見えている天野 宗佑東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 相澤・山崎研究室 修士課程1年人の認識は、その人の知識に左右されます。もしあなたの知識が偏っているならば、きっと認識も偏ったものになることでしょう。この作品では、日本のポピュラーな食事に関する知識を与えられたコンピュータが、いったい世界をどのように認識しているのかをあなたにお伝えします。目に映るものすべてを食べ物だと思い込んでいる機械は、きっとあなたを食べ物だと認識することでしょう。 |
RobotDriver石黒 慎東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 池内研究室 修士課程1年人間は操作方法が異なる多様な乗り物を巧みに運転することができます。 しかしながら、複数の乗り物の操作に慣れるには、乗り物の数だけ長時間の運転経験が必要です。 本作品では、人間型ロボットを遠隔操作し、間接的に乗り物を運転することが出来ます。 ロボットによって乗り物ごとの運転感覚の差異を吸収することで、同じ1つの操作方法で多様な乗り物を運転可能にすることを目指しました。 |
物質世界を離れて落合 陽一東京大学大学院 学際情報学府 総合分析情報学コース 修士課程2年魂の牢獄から離れることの出来ない我々は、メディア装置の中に何を見ることができるだろうか。物象的実体を超えた何かが視覚を通じて自らの存在をあやふやにするとき、物質世界からほんの少しだけ離れることが出来る気がする。 |
影薄いやつ!林 雪婷、王 夢、佐川 俊介東京大学大学院 学際情報学府 先端表現情報学コース 小川研究室 修士課程1年、
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会場 | 東京大学本郷キャンパス | |
工学部2号館 2階展示室・2階フォラム・9階92B | ||
情報学環・福武ホール | ||
最寄り駅 | 東京メトロ南北線 東大前駅 | 徒歩7分 |
東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線 本郷三丁目駅 | 徒歩8分 | |
東京メトロ千代田線 根津駅 | 徒歩8分 | |
東京メトロ三田線 春日駅 | 徒歩10分 | |
開催日程 | 2012年12月6日(木) - 10日(月) 11:00 - 19:00 | |
入場無料 |